Neu! '75 / Neu!
本日はこちら、Neu!のNeu! '75です。
1975年発売。
なんてすっきりしたデザイン。このアルバムは、彼らの3枚目なのですが、1、2作目のジャケットも同じです。色が違うだけ。かっこいい。
私の持っているLPは2010年のリイシュー盤です。やたら静電気がすごい。
Neu!(ノイ)は、クラウス・ディンガー(ドラム、ギター)と、ミヒャエル・ローター(ギター、キーボード)の二人組みの、ドイツのバンドです。
ハンマービートと呼ばれる、リズムが特徴で、レディオヘッドのトム・ヨークや、Pilのジョン・ライドンなど、ミュージシャンから愛されているバンドです。
彼らはファーストアルバム、Neu!が一番有名で人気があるかと思いますが、私はこのアルバムも好きです。
曲目↓
75年といったら、まだパンクもニューウェーブも登場する前なのですが、この人たちは、そういったジャンルを先取りしているかのようなアルバムを作ってしまいました。
(ジャンルについては後ほど。)
ただ、このとき二人はすでに違う方向に歩み始めていたらしく、A面はミヒャエルサイド、B面はクラウスサイドといったように、印象の異なる曲で構成されています。
特にB面は、ドラムにクラウスの兄弟、トム・ディンガーと、Hans Lanpe(読み方がわからん(笑))を起用。この二人とクラウスはのちにラ・リュッセルドルフというバンドを結成します。
A-1、Issiでは、前の2作の延長のような、ハンマービートが気持ちのいい曲です。8分で刻まれるバスドラムのおかげで、陶酔感を生み出しています。
A-2、See Landは、ギターが特徴的な、ゆったりしたナンバー。UKでもUSでもない、ヨーロッパを感じさせる浮遊感のあるメロディが鳴り響きます。
A-3、Leb' Wohlでは、風や海の音に乗せて、やさしいピアノが鳴っています。エコーがかかった声で何か語りかけてくるのですが、ドイツ語はわからず(笑)アンビエントのさきがけのような、このまま時が止まってほしくなるような曲です。
面白いことに、アンビエントの提唱者、ブライアン・イーノは、ドイツのバンドとも交流があって、のちにミヒャエルが結成する、ハルモニアというバンドと一緒にアルバムを作ったりしています。(1976年録音、発表は97年)
そう考えると、このNeu!から始まり、イーノ、そして前に紹介したデヴィッド・ボウイのベルリン三部作に繋がっているのだと思います。
B面は、ガラッと印象が変わって、攻撃的な曲のオンパレード!
B-1、Heroは、激しいドラムに乗せて、叫ぶボーカル!いままでの陶酔感を誘うハンマービートというよりは、ニューウェーブのような、破壊的なリズムです。
そして、なによりこのタイトル!彼らが、デヴィッド・ボウイの”Heroes"に多大な影響を与えていることがすぐわかります!(笑)実際、このタイトルから拝借したといわれています。(もちろん、曲が似ているということはありません。ただ、近い雰囲気は感じられると思います。)
B-2、E-Musikは、ドラムになにやらエフェクトをかけているようで、すごく金属的な音がします。こういったところにジョン・ライドンが影響を受けているのでしょうか。Public Image Ltd.のメタル・ボックスでこんな感じのドラムの音があったな~なんて思い出しました。
この曲がこのアルバム一番のおすすめ!
攻撃的な曲が一転、風の音になり、静かになります。
ああ、幸せな時間が終わっちゃう。
と思っていると、まだ終わりません。
B-3、After Eightでテンション最高潮。ギターがじゃんじゃん鳴って、怖いぐらいの叫び。
そしてびっくりするほどパッと終わってしまう。
なんだこれは、75年でこんなことやってるやつらがいたのか。すごすぎる。
個人的に、ジャンル分けというものが好きではないのです。このアルバムを聞くと、ジャンルというものがどれだけ意味のないものなのか、すぐにわかります。
一枚のなかで、アンビエント、パンク、ニューウェーブ、テクノ、そのほかたくさんの要素が入ってしまっています。ということは、このアルバムはなんなんだ。
ジャンル分け出来ません。
かっこいいアルバムは、いつもそうです。彼らにしか出来ない音楽をやっているのです。
あと好きではない理由のひとつはもっと単純です、レコード屋によって置いてあるコーナーが違う(笑)Neu!なんかサイケにあったりクラウト・ロックにあったり、普通にロックコーナーにあったり・・・。いっそのことジャズとかR&Bとかも分けないで全部A~Zに分けてくれればいいのに(笑)
皆様、ジャンル分けをどうお考えでしょうか。
また、こういう曲のつながりの気持ちいいアルバムは、ダウンロードして一曲ずつ聞いていたらまったく味わえないものです。
みなさんも時間があれば、椅子に座って、あるいはみんなで踊りながらこのアルバムを聞いてみてください。
ぶったまげるはずです。